無能なナナに登場する三島コハル。
ナナが殺人に対して疑問を抱き始めてから最初の敵になります。
頭が回る聡明な女の子で、かつ作中の女性キャラクターの中では、容姿に恵まれている方と言えるのではないでしょうか。
(個人的には作品の中では一番かわいいと思っています。)
また、彼女の両親とナナの両親は関係があったとされる描写も見られました。
今回は三島コハルについて色々と考察していきたいと思います。
最新6巻以上のネタバレを少々含みますので、ご注意ください。
無能なナナ 三島コハルの能力は?
三島コハルの能力は一見シンプルで、そこまで強くないものとされていましたが、終盤にて実は能力が違うことが明らかになりました。
三島コハルの真の能力
三島コハルの能力は「双子であるヒヨリと情報や感覚を共有できる」というものだと最初に明かされましたが、これは違うことが明らかになりました。
本当の三島コハルの能力は「人に幻を見せる」というもので、「三島ヒヨリ」という双子の妹は、実はコハルが無意識に作り上げていた幻だったというわけですね。
(コハル本人すらこの真の能力に気づいていなかったというところが面白いですね。)
三島コハルは両親を殺害され、親戚から厄介もの扱いされた幼少期を過ごしていたことで、頭がおかしくなりそうだったと語っています。
その現実から逃れるために無意識に自分で妹という幻を作り出してしまい、本当の存在する妹のように認識してしまったようですね。
鶴岡曰く「本来ならもっと大勢の人間にあらゆる幻を見せられる恐るべき能力者だった」と語っています。
(能力を「双子間での情報共有」だと思いこんでいたため、自ら無意識に能力の制限をかけてしまっていたんですね。)
三島コハルが能力を誤解していたため、「幻を見せる能力」の対象人数は「1人だけ」になっていることが描写から分かります。(今回はその対象が全てナナだったということですね。)
島の食堂にて、ナナがコハルとともに外に出ていく描写をモエに目撃されていますが、モエは「ナナが1人でしゃべっている」と認識していました。
これにより、島の食堂でナナに話しかけていたのが「コハル」ではなく「ヒヨリ」であり、「幻であるヒヨリはナナにしか見えていなかった」ということが分かります。
(幻であるヒヨリをナナ以外もいる人前に出歩かせてしまったコハルのミスですが、幻ではなく「実体の妹」と認識していたがゆえのミスと言えそうですね。)
ナナがコハルの能力に感じていた違和感
ナナはコハルから能力の説明を受けてから、「双子がいるというだけでは説明できないことがある」と疑問に思っていました。
以下解説していきます。
荒らされていたナナの部屋が元通りになっている
コハルのエピソード開始の冒頭で、ヒヨリはナナの部屋を荒らしてから、ナナをナイフで襲おうとしました。
ナナは学校の教室に逃げ、コハルに殺されそうになったと証言しましたが、その教室にすでにコハルが居たことで、ナナの発言が疑問視されます。
ナナは嘘ではないことを証明するためにクラスメイトを自分の部屋まで案内しますが、そのとき荒らされていた部屋は、服まで寸分違わず元通りになっていました。
これについて、ナナは双子がいるからといって、学校と自室の往復時間20分程度で元通りにできるものか疑問に思っている描写がありました。
これについてはコハルが、ナナにヒヨリという幻だけでなく、「部屋が荒らされている幻」も合わせて見せていた、ということなのでしょう。
もともと部屋は荒らされていなかったということですね。
(コハルとしては「妹が部屋を完璧に片付ける」という認識でしかなかったのでしょうが。)
コハルにとって非常に都合良く現れる
コハルから追跡される中、行く先々でナナはヒヨリに先回りされていました。
また、コハルは「ヒヨリは足が速い」と認識していますが、ヒヨリは動きづらい服装で倒れた自転車5~6台をやすやすと飛び越えるなど、足が速い程度ではない、ありえないほどの運動能力を持っていました。
これもコハルが都合のよい妹像を幻として反映していたからなのでしょう。
今まで双子だとバレていない
そもそもというか、双子だったとしたらどうやってバレずに島までやって来たの?という話になりますよね。
島には政府関係の船で来ることになるのでしょうし、乗船者はチェックされるはずです。
そもそも過ぎて気づきませんでしたが、「実在の双子がいてそれが誰にもバレていない」という設定に無理があったんですね。
コハルの能力が別物だと匂わせる描写も!
ナナが作中で明かした違和感の他にも、読者視点で、「双子間での情報共有」ではないと匂わせるような描写はいくつか用意されていたようです。
以下、記載していきます。
双子がカフェにいる際、ヒヨリに料理が提供されていない
島から本土に返ってきてから、コハルとヒヨリがカフェで食事しているシーンがあります。
ウェイトレスがスパゲティを2つ持ってくるのですが、両方ともコハル側の席に置いているように見えます。
しかもテーブルに水が入ったコップは1つだけです。
ウェイトレスは、幻であるヒヨリは見えていなかったということを明示していたシーンと言えますね。
(ちなみにヒヨリが料理を食べるような描写がないのですが、これも伏線だった可能性があります。)
回想シーンではコハルの名前しか描かれていない
コハルの幼少期の回想シーンでは、コハルの父親がナナの父親と会話している場面が描かれています。
コハルの父親が、「コハルの写真を見るか?」と上機嫌で話しているのですが、双子だったのであれば、コハルだけでなくヒヨリにも触れるのが自然ですよね。
父親同士の会話から、コハルは双子ではなく一人娘だったと思われる描写が描かれていました。
ヒヨリが電車に乗り込むシーンに違和感がある
ここに違和感に感じたの私だけかもしれないのですが、ナナがヒヨリ(コハルの幻)の追跡を避けるために電車に乗り込むシーンがあります。
ナナはヒヨリが電車に乗り込んでから扉が閉まるギリギリのタイミングで電車から降りることで追跡を免れようとしました。
それを読んでいたヒヨリは、電車のそばに立ち、ギリギリのタイミングで乗車することでそれを防ぎます。
私はここで「電車のそばに人がいたら駅員が注意するなりして、扉は閉まらないのでは?」と思ってしまいました。(本当に細かい点ですみません。。。)
ですが、これが実は幻であり、「ナナ以外の人には見えていなかった」と考えると納得することができました。
(これは多分、私が勝手に疑問に思って勝手に解決しただけだと思うのですが、一応記載しました。)
コハルが見せていた幻(ヒヨリ)には「実体」がある?
一番最初にナナの部屋に現れたヒヨリは、ナイフを持ってナナに襲いかかった際、ナナに手首を弾かれています。
つまり「実体がある」ということになります。
実体があると仮定すれば、ヒヨリがナナからボイスレコーダーを回収することができた理由も分かりますよね。(実体がなければ無理な芸当です。)
ということで、コハルが使用できていた能力は厳密には「実体のある幻を対象者一人に見せる」という能力になるわけですが、実体がある幻って、それもう幻じゃないのでは?という感じの強能力ですよね。
鶴岡の言う本来の能力は「大勢の人間にあらゆる幻を見せられる」ものだったらしいですが、その幻全てが実体を伴うものだったとしたら確かにとんでもなく恐ろしい能力になりますね。
かつ、あの頭の回転の速さも加えれば、最強候補の能力者になれる程の器だったのかもしれません。
(しかもかわいい)
三島コハルの過去について
三島コハルの両親は、「能力者関係の公務を扱う役人だった」とコハルは語っています。
コハルの父親は「自殺」とされ、遺書もあったがそれはどう見ても捏造されたものだったようです。
実は、コハルの父親は有識者たち(ナナの両親含む)と結託し、「人類の敵」である生徒たちを秘密裏に殺している「委員会」の存在を暴露しようとしていました。
しかしその暴露はもみ消されてしまい、粛清として鶴岡によって殺害されたということが明らかになりました。
両親がなくなった後、コハルは「親戚が急に冷たくなって毎日いじめられるようになった」と語っています。(おそらく、鶴岡と委員会が情報操作して陥れたのでしょう。)
このコハルの幼少期、ナナの幼少期と境遇が似ていますよね。
鶴岡は両親が殺されたナナを「心の壊れた少女」と表現していましたし、同じ境遇だったコハルも同様に、幻を実在の妹と認識してしまうほど、「心が壊れていた」ということなのだと思います。
三島コハルの最後について
ナナとコハルは話し合いによって和解する方向になるのですが、鶴岡に見つかり銃撃されてしまいます。
とどめをモエにさせようとする鶴岡ですが、モエを「人殺し」にさせるわけにいかないと思った「優しい」ナナはモエから拳銃を奪い取り、自ら引き金を引いてコハルを殺害しました。
(鶴岡が言っていた「柊ナナは優しいから殺す」と言っていた意味がここで明らかになりました。)
ナナはその後、橘ジンに依頼してコハルの遺灰を入れた骨壷を用意して弔いました。
(骨壷を1人分ではなく、2人分用意したことから、ナナが最大の敬意を払っていることが分かりました。)
ナナ自身も幼少期の境遇にシンパシーを感じていたようですし、ナナの仲間になってくれそうだっただけに、ここで退場は非常に悲しいです。。。(個人的に一番好きなキャラクターでした。)
私の鶴岡に対するヘイトが尋常ではないので、なんとかナナに敵を取ってほしいと思っています!
まとめ
三島コハルの能力と強さ、過去について記載しました。
まとめると、
- 三島コハルの能力は「双子であるヒヨリと情報や感覚を共有できる」ではなく、「実体のある幻を対象者一人に見せる」というもの
- 幼少期の境遇がナナと似ており、心が壊れていたことから妹という存在を自ら作り出してしまった
- 最後はナナ自らの手によって殺害されてしまったが、ナナから最大限の敬意を持って弔われた
という感じですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!